夏服のイヴ
台風におののき、強い雨にじっと部屋にいる夜は不安で誰かに包まれたくなる。
九月の雨は一雨ごとに秋を深めるから黒い雲と強い雨の向こうにはどこまでも
高い空が待っていることを知っている。
こんばんは、音楽夜話の時間です。
夏はもう特別な季節でなくなり、なんの出会いも生まず、ただ強烈な熱に遊ぶ
若者たちを日陰から見ている。
太陽に負けない力を持つものたちの季節を恨めしくも思っていたのだが。
夏が行くと書くのだろうか、それとも逝く。
次は我々の季節だと知りながらも、まだ体にくすぶっている夏の欠片がある限り
強い陽を浴びた夏はまだ他人の季節ではない。
トランペットは勇ましい夏の行進曲のような楽器でありながら、夕陽の中で聞けば
また切ない音にも聞える。
日野皓正は日本の生んだジャズトランペッターであります。
彼が逝く夏をテーマに吹き、作った歌をこの夏の終りに紹介したいと思います。
彼のソロトランペットは夏の楽園から出て秋に向かう少女の決心を歌います。
松田聖子さんで「
夏服のイヴ」お聴きください。
円熟した歌唱力を持った頃の聖子さんの歌はまた迫力がありますね。
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