ハイウェイの貴婦人

イチロー

2006年12月26日 22:17



いすず117クーペ

じつはこの車のフリークでありまして、以後車の美しさを愛でる原点となる。
後期型ながら3台を乗り継いだ。

いずずは多くをアルファロメオに生き方を求めたと思える。
ジュリアクーペとべレットの関係、ツインカムヘッドの形。

小さい大衆車に数種類のエンジンを積み、スポーツさせるためにツインカム
を積んだ車をラインナップする。

その中でひときわ美しいボディのクーペが誕生した。

バス通学の高校生の自分には憧れのみの車として街を走るのを眺め、いつ
かはと思ったのが117。

東京生活を終えてジェミニを入手、そして既に絶版だった117を手に入れる。
ツインカムの三台を乗り継いだ。

117は早くもなく、パワーもさほどないが、憧れの歴史を持つ車。
走るより眺める車、信号で停まれば隣の高級車からの視線を受け、紳士達は
隣の淑女に話しかけている。

「昔、あれに乗っていてね」

そんなことを話しているように思えた。

キーを貸してあげても発進ができないのは、独特の”(操)作法”があったから。
キーを挿し、まるでトラック(トラックメーカーでもあるが)のようなT字レバー型
のステッキブレーキを回して向こうに押して解除する。

ライトはダッシュのノブを引いて点灯するのだから。

三角窓をあければ、快適なエアが運転席に流れてくる。
平面に近いサイドガラスが曲面で構成されるボディの上に乗る。

ドアから後ろのフェンダー、リアにつながるラインは、我々の世代が最も好む
リトルグラマーなヒップラインを持つ。

117は、当初ハイウェイの貴婦人というキャッチフレーズで売られた。

イタリアンな貴婦人が日本のハイウェイ開通とともに降り立ったのだ。

いまだに妄想するこの117の再発売。そんなことを時々思うのだ。
そんなときに、かつての雰囲気そのままにマスタングが発売された。

既にいすずは乗用車を作ることをやめている。
では、何の可能性もないのか

最新のエンジンを用意できるメーカーが、ボディだけかつてのものを
架装する。なんてことはできないのか。

この計画、ネオ117と言う。ミツオカさんあたりの技術でどうよ。
だめならトヨタでもいいのだ。

ネオ117計画が悪ければ、お父さんの為の旧車復活計画でもよい。

もう一度117を。4台目が欲しい。そんなことを夢見ている。

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