地衣たちの春

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地衣たちの春

公園のほとんどが池になっているのは、四つ池公園が大きな三方原台地の
端にあたり、豊富な水湧く場所になっているからでしょうか、三つの大きな池
が続き、豊かな自然が水を取り巻いているのです。

自然観察が好きで、昔は佐鳴湖の自然観察会にも出かけていた頃、西端の
湿地があることを知り、台地がもたらす恵みを感じたことがあるのです。

池のまわりの木々はまだ春遠く、枯れ色とくすんだ針葉樹の姿ばかりで見る
べき春が見つかりません。

山側の散策に飽きて池を見れば鴨たちが静かに滑るばかり、でも池の石垣
には緑以外の春がやってきていたのです。

植物なのでしょうか、それとも地衣類なのでしょうか、緑を持たない小さなもの
たちが石垣の間の厳しい環境を選び、繁茂しています。

一本一本はとても小さいのに群れて育てば石垣の隙間を全て覆うほどの強い
意思を感ずるのです。

池を覆う大きな木たちが深く重なる葉をつける前に石垣の命が育ちます。
雨が流れ落ちる石垣の隙間の小さな流れを取り込んで命をはぐくんでいるの
です。

命緑だけならば、目立たず。

争うよりも厳しい環境に身を置き、自分たちの文化を育ててゆくのも生きる道の
一つです。

冷たい石が寄り添ってくれる地衣たちに囲まれて喜んでいるように思えるのです。


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