アザミと母の堤

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アザミと母の堤

母が好きだと言ったから、アザミを見つけたらきっと摘みたくなるのです。

昔々の浜松は、町と田舎は大違い、今では郊外とは言えない三島町で母は
育ったのでした。

「どこへ行くにも歩いていったのよ」、母は今なら考えられないほど遠く思える
学校まで、三島、中島、竜禅寺を通って通ったなのだと言う。
車で通った道の細かったこと、大きな川の堤に咲いていた花の話をするのです。

「このあたりはずっと堤になっていてね、そこにアザミが咲いていたの」

母は遠い昔の三本ラインのセーラー服に戻っているのです。

アザミを見つけても、筋が丈夫でポキリとは折れないのが野に咲くアザミです。

以前にはその為にパチンと切るハサミを乗せていたこともあったのに、花を見つ
ける時に限って見つからないのです。

夏のムッとする緑の土手に夏紫のアザミが咲き始めました。

そろそろそんな所に出かけることのない母に摘んでいかなくてはね。

ホームセンターでパチンと切れるハサミを買ってきましょうね。


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この記事へのコメント
アザミは、切って、車に乗せている間に
しおれたようになるけれど、家について花瓶に挿すと たちまち息をふきかえして、何日も 楽しませてくれますね。『私の家に来てくれる?』 そういいながら 、いつも鋏を入れます。
Posted by 森のブリコ森のブリコ at 2008年05月15日 10:44
ブリコさん、そのとおりですね。
しなりとしおれたアザミを冷たくておいしい水に浸してあげています。連れてかえりたいですね。
Posted by イチローイチロー at 2008年05月15日 11:59
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