夏の翳り

カテゴリー │デキゴト路地

夏の翳り

ムッと草いきれがするのは、刈ったばかりの芝の上にいるから。

ベンチに座り、足を投げ出して裸足の足裏で芝の暖かさを感じています。

雲がかかる度にひやりと風を感じるのは、海開きをしたばかりの海はまだ
夏の始まりにいるからです。

水路からは常に風が吹いてきて、日ざしと力比べをしているのです。

向かいには浜名湖EXVと隣接するゴルフコースのある島が見えています。

何本かの高いパームツリーとレストラン棟の建物が眩しい蔭を作っている。

そんな時に、先日帰ってきた末息子に持たせてしまったサングラスをちょっ
とだけ惜しく思うのです。

蔭になった対岸を「ホテルカリフォルニア」みたいだねと誰かが言う。

刈り込んだばかりの芝にはさまざまな小鳥が遊びにきます。

裸足で歩く芝の上を同じように、ツイッと歩き回り、飽きれば飛んでいって
しまう。

ビールはもう一缶、開けた缶を口に当てたまま目をつぶり、瞼に透かす
真っ赤な太陽を浴びている。

うつらうつらとしてきました。

夏のはじまりの風が吹いています。


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