ぶん屋展は紅葉鮮やか

カテゴリー │小間物がたり

ぶん屋展は紅葉鮮やか

「ぶん屋展に行ってきたよ」と言うと、「おまいは朝から行ったんだろう」と思われま
すが、しーっかり午前の仕事を終えてから行ってまいりました。

着物にぶん屋の絆纏を羽織ったあき姐さんに、ぶん屋兄さんが今日はこ狭い山下
の店から出まして「きもちのよい空間」におりました。

「なんでおまいは、ぶん屋のこととなると、そうちょっかい出すんだい」と言われます
が、あたしはこんな夫婦が好きなだけなんで、他にはありません。

いつも一所懸命ですが生きるのにうまかったわけではない男がいる。
男は支えてやりてぇと思った女を見つけ、女は支えられたいと思いながらじつは支
えてしまう面白い夫婦となる。

この時代にもっと楽な商売があるだろうし、他の才覚も(噺家)あるのに小間物屋を
はじめまして、先達に学び、職人から学びしていた一年前のある日、夕暮れのぶん
屋に行くと、「いいことを考えついたんだ」とニコニコしている。

「ぶん屋好みってんだ いいだろう」

ぶん屋展は紅葉鮮やか

仕入れるんじゃなくて、こしらえるんだ、小間物屋は品を並べるんじゃなくてぶん屋
好みのもの見本をこしらえて、そこから誂えに出すんだよ、別注もできるんだ。
そういって笑っている。

あれから1年、蜻蛉珠(とんぼだま)や簪(かんざし)からはじまり下駄に草履、袋
物に扇子、半衿など、小間物屋らしく慶弔用品までが揃っている。

豪快なように見えて細心なのは、常に本を読み、京の選んだ店に行き実際に目に
して見本をこしらえる。その見本から人に様子よく合わせることを常に考えている。

ぶん屋好みの商品は常には店の抽斗(ひきだし)の中に仕舞われていて、話しの
中で「こんなのがあります」と品を出している。

ぶん屋展は紅葉鮮やか

それらの品物が今回の展示会で外へ出ている。

ぶん屋夫婦の写真を一枚撮った。 初めての展示会の合間に撮った。

準備に余念がなかった二人は今日から日曜まで初めて店以外での展示となり、
初めていらっしゃる方をお迎えもする機会となる。

男には見るものがないだろう、なんてことはない、拵えてあげたい人、誂えてあ
げたら喜ぶだろうなと思うのは男の方である。

「あきが欲しいって言うだろうな」、常に品が出来てくるとそんなことを行っている
旦那が、初めての展示会で少しだけ緊張している。

「着心地がいいんだ」と、お召しを着て背を正し夫婦が寄り添った写真をギャラリー
の前で撮った。

このギャラリーの中庭の紅葉がこの展示会を祝福するように鮮やかである。

「季節ごとにやっちゃあどうかと言われたよ」と言うぶん屋。

店ごと手作りではじめたぶん屋が、展示会ができるようになった。
この夫婦だもの、確かに歩み、確かなものをつくり、すすめてきた。

冬のはじまりのギャラリーを彩りの小間物で飾る。

どうぞ行ってやってください。

会場:ギャラリーラウンドテーブル
所在地:浜松市東区半田山3-47-6
地図:こちらをクリック12月4日(木)~12月7日(日)
午前10:00~午後5:00 ※12/7は午後4時まで


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