春の芽のエア

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春の芽のエア

つまらない、つまらないと嘆く男がおりました。

春の日差しの中を歩き、全てがうまくいきそうな明るい日にも、嘆いてばかり
います。

「ほら、新しい芽だよ」と教えてみても、つまらないと言うのです。

「こんな小さい芽でも、えらい学者さんが名前をつけたんだろう」なんて嘆く
のです。

「君にも立派な名前があるじゃないか」

「僕なんか、名もない男さ」

「でも、ちゃんとこうして友達が一人いるってことだよ」

「そうか、君は僕の名前を知っているな」

「大切な友達だよ」

人は名もないなんて言いますが、花も木の芽も成長するこの春を一緒に
過ごしています。

人も芽もどちらも生きている。名前の大きさなど関係なく一緒に生きてい
るのです。

学者さんが知らなくても、ちゃんとしっかり生きているのです。

花よりずっと長く、毎年毎年、春を感じて生きているのです。


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