イチロー的こころ（旧版）

　山が錦織り成す頃となりました。これは先週末に出かけた富士を抜ける道路の
ひとコマです。

朝には富嶽三十六景をお借りしながらブツブツと書いておりますが、富士山好き
は秋冬となればドライブに出かけて雪をいただくお山を見上げます。
何をするわけでもなく、冷えた空気の中にそびえる山を見上げます。

富士から山中湖に向けて裾野は広葉樹の森、時に緑を残しながらどの山もモク
モクと湧き上がる入道雲のように紅や黄色に盛り上がります。
きれいだね、きれいだねとつぶやきながら進むことができるのです。

真っ黒な土に溶岩の石、青木が原も道路沿いで見るならば紅や黄色を浮き立た
せる真っ黒に塗ったキャンバスとなっています。

食べ物はほうとう、次第に山梨側から見る富士に向かえば味噌で仕立てて舌を
焼くほどの熱い鍋が食べたくなるのです。

「きのこ」と書いた看板がかけられた店が並びます。
最近では「うどん」も名物となった富士吉田あたりは幟を立てて誘っていますが、
冷たい空気の中から店に入ればやはりほうとうが定番なのです。

紅葉は瞬時の出会いです。昨日綺麗でも今日はまた違います。
あの時の景色をと思って出かけても、また今日の景色しか体験できないのです。

暖かいミルクを飲ませてもらって向かう道はずっと上り坂、富士の裾野はどこま
でも広く続きます。
帰りは逆にどこまでも下り坂、朝霧をこえれば富士宮富士の街の夜景が見えて
きます。

思い悩む時も幸せな時も、いつも富士山を見に来ていた。

富士は今、錦に包まれています。　行ったばかりなのにまた暖かい牛乳を飲みた
くなりました。