イチロー的こころ（旧版）

電柱を支えるワイヤーに最後の朝顔が開いていました。

透きとおるような青が、まだまだ夏なんだと朝顔のがんばりを表していました。
最後の最後の朝顔から蔓を見上げると、支えのカバーの中に入った蔓がどんどん
伸びて上から顔を出していました。

朝顔はしゃがんで撮るようなところに、この蔓はカバーの筒の中を太陽に向かって
こんなところまで伸びていったのです。

他の朝顔はもうとっくに花が終り、実を結びはじめているのに、まだ成長して花を
咲かせようとする朝顔。

応援してあげなくてはね。

朝顔のがんばり蔓の一本は宙をさまよっていましたから、手を伸ばしてひょいとワ
イヤーにひっかけてあげましたよ。

電柱のワイヤーに導かれて遠い遠い根から栄養をもらって、最後の夏の光を受けて
ください。

畑の隅っこの電柱にはまだまだ夏がおりました。
こんな夜中には、真っ暗な中、コロコロ、リーという虫の声を聞いているのでしょうね。