静寂の穂

カテゴリー │花ばなしい

静寂の穂

子供の頃に遊んだお宮に静寂の穂が何本も立っていました。

お宮の四季を知っていた子供の頃には確かになかった花でした。
一番南側なのに湿気があって、広くこの静寂の穂を育てる葉が広がっています。

その葉はまるで野菜のような緑色、小さい頃に飼った小鳥にあげたら喜びそうな
柔らかくてきれいな葉が一面にあるのです。

お昼だというのに、やがて来る雨を持つ黒い雲が広がっていて、お宮は誰ひとり
いない神の場所そのものの静けさの中にいます。

濃緑の葉が空を覆うようなお宮の森の入口に、鮮やかな緑を広げ、育った静寂
の穂を見る人もおりません。

今もお宮の奥には怖い不思議がありそうで行けないのです。

子供の頃に、わるさをするような年上のお兄ちゃんたちがあの奥で秘密めいたこ
とをしていたところです。

静寂の穂はいくつもいくつも空に突き立っていました。
静かに静かに、やがて来る雨を待っているのでした。


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