灯りの祭り

カテゴリー │デキゴト路地

灯りの祭り

鉦や太鼓に誘われる。

藤枝を流れる瀬戸川の畔に車を停め。商店街へ出てみれば3年に一度の大祭り
だそうで、鉦や太鼓、三味や謡の屋台がずらりと並ぶ。

夏の祭りとはまた違い、宵に点る御神灯沿いに歩くのはまた楽しいものであります。

10数台の屋台が各地域から引き出されて商店街を行く様子は美しく。
特徴あるのは、屋台の上のお囃子がお江戸あたりからお願いして来ていただくと
いう音曲の玄人のみなさんの生の声、生の三味に太鼓、鉦の音というのが違う。

屋台を運行するのは男衆でありますが、そのテンポをとるのは本物の花柳界の粋
筋の皆さん。

屋台を曳くのは主に扇子を広げる女衆であります。

灯りの祭り

屋台の進行はとてもおだやかで、停まってはご祝儀をいただいた方の名前を述べ、
曳き手である女衆がお礼の踊りを披露する。

時にすれ違う屋台があれば互いに踊りを披露しながらすれ違っていきます。

女衆が持つのは名前を書いた揃いの提灯、各家女衆が一人は参加するというなら
わしがあり、衣装も踊り手としてあつらえた華やかなものであります。

休憩するみなさんがめいめいの提灯を通りに並べれば、藤枝を支える女衆の心意
気を感じるのであります。

祭りは清きものならば、酒が入る感じもなく、荒ぶることもなく、粋な鳴り物に心と体
を踊らせながら進んでゆく。

これも一つの秋の祭りの姿。

灯りの祭り

女衆の踊りを見ようと、宵の沿道には大先輩であろうおばあちゃんが席をとっていた
りする。

雪駄の緒も白や紅白など荒い祭りとは違い、揃いの手ぬぐいは踊りの小道具として
使われるよう粋な染めになっております。

そして手には扇子を持ち、ときに真っ白な晒しを踊りに使う。

通りすがりの祭り見物人には古きならわしはわかりませんが、女衆にまじり踊る男衆
はまた見事な踊り手ばかり。
もちろん、主役は女衆。これも藤枝という旧き町の育てた伝統なのでしょう。

見事なまでに今も繁盛する旧き商店街は不思議なほどにどの店も生きている。
むしろ活きているに近く思える。

煎餅店、和菓子、テーラー、米屋に家具屋さんなど、他の町ならばとっくに淘汰されて
いるような店がズラリと並びどの店もきりっと整頓され汚れ一つない。

女衆がまもり、この道を踊り歩くのを誇りに思う町はきりりとしている。

どの店の二階にも住まいがあり、その窓からは子供たち、家の人たちが祭りを見物し
ている。

よい町の生きたまつりを見た。藤枝の心を知った今宵のまつりでした。


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この記事へのコメント
藤枝にこのような祭りがあること初めてしりました。
しっとりとしたお祭りのようですね、お囃子の音色聞いてみたかったです。昔、ちょっと縁のあった方が藤枝の人でしたが、工場の関係の方でしたから古くからのお祭りのことは話題になりませんでしたね。
あちこちのお祭り、それぞれに趣ありますね。
昨日、掛川駅を降りると偶然祭りの屋台に出会って15分ほど見学しました。たくさんの屋台でした。
Posted by けいこさん at 2007年10月08日 13:33
けいこさん、コメントありがとうございます。
是非けいこさんにご覧いただきたいお祭りでした。
男祭りが多いですが、女性が輝くまつりを支える男たちを見るのも
また風情を感じました。よき文化を継承するのがまつり。藤枝の心を感じてまいりました。
Posted by イチローイチロー at 2007年10月08日 18:08
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    コメント(2)