ヒラリの朝

カテゴリー │花ばなしい

ヒラリの朝

公園の森の向こうで、ヒラリヒラリと手招きをしているのは、大きな豆のさやでした。

薄暗い公園の中、吹く風邪にゆれる豆を見るのは不思議。
「おいでおいで」と手招きをしているように思えます。

パリッとしたサヤはカラカラになって揺れ、弾けた種を遠くに飛ばそうとしているの
でしょうか。

耳をすませば大きな森を支えるいくつもの種が、落ちてくる音が聞こえそうで耳を
済ましますが、ただ風が吹くだけ、その風にのって、おいでおいでをする豆たちと
一緒に吹かれておりました。

いよいよ森は次の世代を降らせ始めます。
小さな草たちも、穂に実をいっぱいに蓄えています。

全ての種たちが芽をふきますようにと親なる木も草も願っています。

秋の森は母たちが子を産み落とす音に満ちているのでしょう。

我々が踏む土の上、草の下に転がり落ちた実や種のことを私たちは気づきません
が、「よいところに落ちた」、「雨がふらないかな」、「落ち葉のおふとんがほしいな」
などとつぶやいているのでしょうね。

森は生きている。秋の森へ行きましたら、耳をすましてみてください。


同じカテゴリー(花ばなしい)の記事
紫陽花ひとり
紫陽花ひとり(2011-03-15 16:20)

ふきのとうの事情
ふきのとうの事情(2011-02-17 11:18)


 
この記事へのコメント
コメントいたします。
とても良い色ですね。
稲穂の色から少し深くした色。
「今の色」
大地に落ちて色を変える。
咲いている花も良いですが、枯れの美学は今。
  「心の角度は大地へ移る」
Posted by 大黒屋 at 2007年10月18日 09:05
大黒屋さん、コメントありがとうございます。
そろそろ地を見るようになりました。地色とはまさに
こんなことを言うのですね。少しづつ学びます。
Posted by イチローイチロー at 2007年10月18日 09:44
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
ヒラリの朝
    コメント(2)