花を教室に

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花を教室に

小学校2年から浜松の郊外積志地区に引っ越して団地っ子になった自分が残念に
思うことがありました。

毎朝、小学校の教室に新聞紙で巻いた花を持ってくる子たちがおりました。
みな、農家だったり、大きな家に住んでいて「お母さんが持っていきなさいって」と
先生に渡す。

先生は学級の花瓶に入れて飾ってくれるのです。

住んでいた団地には小さな庭がついていましたが、花などはなく、おそらく育ち盛り
の僕たちを育てようと懸命だった父母にはそんな余裕はなかった。

農家が多かった友達の家は花が咲く大きな庭や畑を持っていて、たいそううらやま
しく思ったものでした。

でも持てる家の子は、朝から花などを持たされるのがいやで、迎えに行くとお母さん
から逃げるように飛び出してきましたっけ。

冬になれば持ってくる花は菊になります。
冷える教室の朝に、菊のまじめで品のいい香りがただよいます。

先生は持ってきた子にお礼を言ってから授業をはじめたものでした。

何かのお祝いに家に花があったことがありました。母は朝いきなり花を新聞紙で包
み、学校へ持っていきないさいと言う。

「やだあ、男は持ってこないんだ」などと言ったのかどうか、学校へ行き教室へ行かず
にまっすぐに職員室に持っていったことを思い出しています。

その頃の男の子は、教室の小さな水槽で飼っている雷魚のほうが興味があったので
した。
冬の冷たい朝、雷魚の水槽はカチンカチンに凍っておりました。

暖かい水を入れて氷を溶かすと、雷魚は当たり前のように泳ぎだした。

僕らは半ズボンの膝を手でこすって体を温め、あまり寒いと休み時間におしくら饅頭を
していたのでした。


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この記事へのコメント
コメントいたします。
昔の思い出を素直に正直に語れる心に感銘。
季節の花は色々な事を教えてくれたり、思い出を運んでくれます。
  「一つの花を見て母を思う」
これが感性を高める事であり、センスなんでしょう。
Posted by 大黒屋 at 2007年12月11日 09:22
中学生だった頃毎日、朝一番早く教室に入って花の水を替えていた子を思い出しました。その頃はあまり感じなかったのですが今考えるとすごいことだったなと思います、そのお宅の環境というか考え方も。
わたしは菊の花の香りに思い出があります。
菊の香や、ままごと遊び、母の役。などと自分で俳句のようなものを作って思い出をたのしんでます。
Posted by けいこさん at 2007年12月11日 09:55
大黒屋さん、コメントありがとうございます。
菊の花の香りが匂ってきたのです。我々はいろんな経験を積んで
生かされているんですね。
Posted by イチローイチロー at 2007年12月11日 12:14
けいこさん、コメントありがとう。
素敵なお話です。毎日水をあげる子のご家庭がしのばれますね。
僕も最近ふるいことを思い出し、一人想像の中にいます。
スイッチは花だったりすることが多いです。
やはり季節とともにいた子供の頃が素敵だったということですね。
Posted by イチローイチロー at 2007年12月11日 12:15
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