風透き通るホオ

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風透き通るホオ

冬の空気は透明度をあげてそこにある。
冷たい水のように鮮烈で厳しくなった透明な空気が全てを画期的な色にする。

かつて井上陽水の歌ったリンゴ売りのリンゴの色がそこにある。
寒さは色を画期的にするのである。

初めてこの鬼灯に会ったのが8月の夏、とすればまだ四ヶ月しか経っていない
のだ。

野にも山にももう赤いものが消えようとしている。
その中で4ヶ月の間、命を保った鬼灯だけは畑を守る人に残されてここにいる。

夏は消えずにここにいるのだ。

緑の浴衣をを着た若々しい鬼灯は、金と銀の色をまとう婦人のはっとするような
口の紅となってここに住む。

どの季節においてもほおずきは鬼灯なのだ。

赤い灯火つけて冬を照らす、鬼灯ひとつ、透明な空気を照らしておりました。


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この記事へのコメント
コメントいたします。
真夏の忘れ物。
この忘れ物を見て、夏の頃の自分はどうであったか。
心や感性は成長するものだと思います。
自分の変化を確認できるのも、「真夏の忘れ物」のおかげだと思います。
Posted by 大黒屋 at 2007年12月18日 09:07
大黒屋さん、コメントありがとうございます。
同じ畑に通っています。どんなものにも季節はめぐりますが、変わらない心もある。そんなことを知ってうれしく思います。
Posted by イチローイチロー at 2007年12月18日 09:25
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