イチロー的こころ（旧版）

荒れ果てた果樹園が冬のお気に入りになりました。

近くに行けば立ち寄ってみる。そこは萩丘にあり、訪れるたびに違う光を見せて
くれるのです。

夏に知り合えた大黒屋さんが言う光とは毎日の単位で進みます。
その中に棲む檸檬も昨日の光の中にいた。今日はまた違う光の中にいるので
しょう。

キッと鳴いて枝から鳥が飛ぶ。檸檬が光をまばたきさせてそこに居る。
光感じなければ檸檬がそこにあることに気づかなかった。

今年の後半は光の中でさまざまなものが映るようになりました。

檸檬は少し苦手、酸っぱいものが苦手で蜜柑類を食べないのに光の中の檸檬
は確かに誘惑してくれるのです。

硬い枝は鳥が飛び立てばビュンと揺れてとまる。
檸檬は一瞬だけトキメイて、またツンとそこに居るのです。

冬の檸檬は枝の先でツンツンとしています。

届かない枝の先でツンツンとしています。

誰も入らない荒れた果樹園には檸檬が一個棲んでいるのです。