光は巡るよ

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光は巡るよ

夏の始まりに明るい緑に愛らしい紅をつけた鬼灯に出会ってから、畑の隅に
鬼灯を植えた人に感謝していました。

いつ訪ねてもその畑には誰もいない、いつか半年の間楽しませてくれた人
に感謝を伝えたいと思っているのです。

夏が深くなり、自由に伸びた作物の蔓が鬼灯を被うと、藪の日陰に追いやら
ても蔓の陰からかわいらしい実が見えていた。

やがて生えるのまかせた蔓も成長をとめ、うらなりの実も落ちる頃、おそろしく
茂った藪は枯れを迎えました。
少しづつ葉を無くした藪の下にはまだしっかりと鬼灯が守られていたのです。

そしてジングルベルが街に流れる頃、刈り取られた畑の下から再び鬼灯が
顔を出した。
半年を生きた鬼灯は畑を守る人に残されたのでした。

冬のぽかりと暖かい日は、小春日和、鬼灯は新しい年の光を浴びておりま
した。

ふっくらと優しく、少しおきゃんな魅力を持つ紅をつけた子。

新しい子が植えられたら、お母さんにもなる一年鬼灯が春のような陽を浴びて
おりました。

畑を守る人の心が残したものでした。


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