葉から花へと

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葉から花へと

水を吸い上げなくなって木が冬に耐えていた季節が終わります。

乾いた木はもうとっくに葉に水を送りませんでしたから、豊かな秋に木を覆って
いた葉たちは、カラカラに乾いて自らの根元に落ち、わずかな冬のぬくもりを
大切な根に与えていたのです。

新しい年とともに木は背伸びをはじめます。
とっておいた力を幹の先、太い枝から分かれた小さな枝の先に力をおくり、ぐい
ぐいと伸ばしていきました。

根っこのがんばりが小さな枝の先いっぱいにみなぎると、そこには花芽という
力こぶができるのです。

小さな枝たちは、互いに競うように、力こぶをふくらめて力自慢をしているのです。

ホコッ、ホコラッと力こぶから一番の花が咲き始めます。

小さい枝たちは、力比べから今度は美しい花の数を自慢しはじめます。

僕の枝がきれいだよ、私の花は大きいよ」、枝たちが自慢をすれば、一番先に
咲いた花が、小さな花芽たちに春の号令をかけています。

「春ですよ、ちょっと早い春ですよ」

冷たい雨も、ごくりごくりと飲んで根っこは力いっぱいに水を送ります。

枝の花は、ほこり、ほっくりと咲きはじめます。

僕らはうれしくなり、パチリパチリと写真を撮るのです。


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この記事へのコメント
コメントいたします。
いろいろな所で春の芽生え。
小さな春を見つけて心が温まります。
Posted by 大黒屋 at 2008年01月26日 14:11
大黒屋さん、コメントありがとうございます。
一番寒い頃に見つける春、とても大切ですね。
Posted by イチローイチロー at 2008年01月27日 15:59
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    コメント(2)