小さな手

イチロー

2008年04月17日 13:18



「ご飯いただいていいかしら」

男たちが仕事の話を肴に鍋を囲み、気炎をあげていると姐さんが言う。
鉄火な男に添う一輪の花は、つつましやかでかわいらしい。

兄ぃに「うらやましいぞ」という目を向ければ「ざまあみろ」という顔をする。
よい夫婦の暮らす座敷に座る時は心あたたまるものであります。

「ああ、姐さんありがとうございます」

小さな手に少し大きめの飯椀、先日プレゼントした紅の挿し色の飯椀
であります。 使っていただいています。ありがたい。

選ぶほうとしては、大切な兄ぃの奥さん、姐さんと呼びますがたくさん
召し上がって、兄ぃの横でニコニコしていていただきたい。
持っては考え、盛ったところを考えて選んでおります。

どうやら喜んでいただけているようで、うれしく思います。

「兄ぃがおさんどんするのかい?」、店をやっておりますから勤めている
姐さんを待つことになるから、兄ぃは飯も担当している。

「毎日あいつの顔を見て味の加減するんだよ、毎日うまいうまいと食わ
せるには工夫がいるんだ」

顔を見てすべてを読み取る夫婦が飯を食っております。

話しては、「なっ」と姐さんの顔を見て相槌を打たせている。

食が細かったという姐さんの飯椀は、いつの間にか空になります。
食う幸せは共にする相方があってのものであります。

飯椀の紅がポッと明るくなる。 

見ているこちらがうれしいひと時でありました。

※写真提供:「Round table」ギャラリー通信!どの
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