ちょっと15分

イチロー

2008年04月26日 09:33



新しいプロジェクトのはじまりに、話が弾みコーヒーをお代わりする。

「まだいますよね」

マスターが声をかけてドアを押して出ていくのは、食事タイムがはじま
る前に、足りない野菜などを買いにいくらしい。

店の中が常連ばかりなことを確認して、マスターはいそいそと出かけ
てゆく。

「客が来たらこまっちゃうなあ」、向こうのテーブルの人が言えば、

「コーヒーぐらいなら、俺が出して金を取っちゃいますよ」、なんて声
を出すものもいる。

仲間が常連の店は、居心地よく全員がマスターの帰りを待つ。

ココアだけで見開きのメニューが埋まり、コーヒーはさらに二冊のメニ
ューを産めている。

打ち合わせの頭に気合を入れ、乾く喉を潤す為にコーヒーを飲む。

しばし覗き込んで、3人で顔を見合わせ、アメリカン、カフェオレ、バナ
ナジュースなんて、気のきかないオーダーで長居をしていたのです。

「やあ、ごめんなさいね」

マスターが帰ってくると、それぞれが挨拶の手をあげ、それぞれ煙草
を一本吸うほどの時間の後に出てゆく。

我々の打ち合わせはさらに密度をあげ、コーヒーもバナナジュースも
空になる。

高校の頃、たむろしていた喫茶店でも同じように仲間と店番をした。
誰か仲間が来るたびに、交代でぎこちなくコーヒーを淹れて店の稼ぎ
にした。

喫茶店文化があった頃、常連の喫茶店を誰もが持っていた。

行かないでいると店から心配して家に電話がかかってきた。

「マスター、ごちそうさま」、常連と行けばすっかり常連候補の気分と
なる。

いまさら飲み屋の常連となるより、馴染みの喫茶店を持つのもいいな
と思う。

同年代より先輩たちが集うJAZZが流れる店。

「また行きますからね」

※写真提供:「Round table」ギャラリー通信!どの

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