花の小首
一面に咲き乱れた花壇の花たちは、背の高さが決められているように並んで
います。
暖かそうに寄り集まって全員が太陽を追いかけて一日を過ごします。
みな、その役割を公園を訪れる人のお迎え係だと知っているのです。
大人がきても小さな子供がきても、にこにこにっこりと咲いています。
その中に赤いチューリップの「こくび」がおりました。
生まれた時はみなと同じでしたが、どんどん背が伸び、今や皆を見下ろして
います。
「こくび」は目立とうとは思っていませんでしたから、ちょっと恥ずかしいのです。
背をまるめてみようにも、ズンズンと力が湧いてきて背を伸ばしていきます。
ところどころに同じ仲間がいましたから、小さな花たちの上に顔を出している
自分のことは容易に想像できるのでした。
「こくび」はちょっと小首をかしげて考えます。
みなと同じでいいんだけどなあ。 一緒に咲いていたかったなあ。
「こくび」は知りませんでした。
花を植えた人が大きな花壇の中で「こくび」の球根を植えたのです。
どこに植えたら映えるかなあと小首をかしげて考えていたのです。
きっとここがいいわね、と「小首」を植えたのでした。
小さい花の群れの中で、ポンポンと飛び飛びに植えられた「こくび」
たちなのでした。
黄色と赤を飛び飛びに並べて楽しく植えられていたのでした。
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