風透き通るホオ
冬の空気は透明度をあげてそこにある。
冷たい水のように鮮烈で厳しくなった透明な空気が全てを画期的な色にする。
かつて井上陽水の歌ったリンゴ売りのリンゴの色がそこにある。
寒さは色を画期的にするのである。
初めてこの鬼灯に会ったのが8月の夏、とすればまだ四ヶ月しか経っていない
のだ。
野にも山にももう赤いものが消えようとしている。
その中で4ヶ月の間、命を保った鬼灯だけは畑を守る人に残されてここにいる。
夏は消えずにここにいるのだ。
緑の浴衣をを着た若々しい鬼灯は、金と銀の色をまとう婦人のはっとするような
口の紅となってここに住む。
どの季節においてもほおずきは鬼灯なのだ。
赤い灯火つけて冬を照らす、鬼灯ひとつ、透明な空気を照らしておりました。
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