桃の空気

カテゴリー │花ばなしい

桃の空気

桃の天然水という飲料があるのなら桃の空気もあってもよいのでは、などと
考える。

桃は欲張りなことに、枝いっぱいにつけた蕾を全て開花させる。
それが透き通るような冷たい空気の中に在れば、空気を桃の色に変える。
濃密なのである。

昨年は寄りで見ていた花々を今年は空気の中で感じようとしているから、
最近のマイブームは”在る”という言葉、そこに在ることで何かを感じていま
す。少し成長して空気を感じて暮らしてみようと思うのです。

桃の花を見つけ、桃の木に近づくのに望遠レンズで見てしまえば、桃はま
た匂うように目の前となる。

枝えだについた花たちは空気を染めて桃一色となる世界を見せてくれる。
わが世の桃、全ては桃の世界である。

ただしファインダーから目を離せば、男はまだ茶色の芝を踏んでいる。
冷たい風に腰や膝、くるぶしに痛みを感じてそこに居る。

望遠レンズは容易に桃の世界に連れていってくれるけれど、季節とはズー
ムリングほどは簡単に近づいてはこない。

「洗濯物を干した瞬間にバリバリと凍るの、だから今が一番寒い季節」と
母が言った。

そして「でもね、それはもう春が近いってこと」と母は予言した。

桃はズームリングひと目盛りの半分づつ近づいてくる。

はたして桃の空気とはどんな匂いがするのか、今度はカメラの目ではなく
鼻を近づけてみたいのです。


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この記事へのコメント
コメントいたします。
桃の花を見ると、桃の節句。
娘達のお雛様を出してあげなくては。
 「妻が大切にしている御人形」
  妻の母が送ってくれた宝物
   
Posted by 大黒屋 at 2008年01月28日 16:22
大黒屋さん、コメントありがとうございます。
桃の優しさに包まれて男たちは少し照れくさいような空気が
ありますね。受け継いでゆくのはやはり女性たちでしょうか
Posted by イチローイチロー at 2008年01月28日 23:09
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    コメント(2)