紅い梅、白い梅

カテゴリー │花ばなしい

紅い梅、白い梅

こんもり山の麓には紅い梅、白い梅が植えられています。

お山に挟まれた谷間にも早い春がやってきて紅い梅が先に、少し送れて白い
梅が咲き出しました。

谷間はとても不思議なところで朝は東のお山がいつまでもお日様を連れてきて
くれません、そしてお日様が射したとおもえば午後には西のお山がお日様を
かくしてしまうのです。

朝のお日様が照らす紅い梅はお姉さん、紅い衣装がとてもドキドキするほど艶
やかで妹の白い梅の自慢でした。

お日様が暖かく照らす昼は紅い梅も白い梅も大きく花びらを広げて遊びます。
もう少しで来る暖かい季節に向かって、おいでおいでをするように歌って過ごす
のです。

午後のお日様はすぐに西のお山に隠れていきます。
紅い梅は、薄暗くなったお山をバックに、妹の白い梅が輝いているのに気づき
ます。

派手ではないけれど、白いドレスはとても清楚で、姉の紅い梅は妹がとても
愛しくなるのでした。

お山に夜が来ると、紅い梅は白い梅を守るように眠ります。白い梅は赤い梅に
甘えて眠ります。

まだまだ春は浅く、冬の冷たさが谷に降りてくるのでした。

「寒いねお姉さん」、白い梅が言うと「私たちが一番に春を告げるんだもの」と
紅い梅が励ますように言いました。

あんなにきれいなお姉さんみたいになりたいな、白い梅は夢を見ます。
妹みたいに清楚でかわいくいたいな、紅い梅は夢を見るのでした。

こんもり山のふもとには二本の梅が二人ならんでおりました。


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