イチロー的こころ（旧版）

「あいう、というボードが欲しい」

ご家族から聞いたのは、聞けば治療の過程で声が出にくいのだというのです。

先輩にできることは何もないのだけれど、これならとパソコンで作ってみたのが
５０音のボードです。

プリントしたものをソフトなフォルダに入れて作りました。

出会って何年、お世話になりながら何も返せるものもない。
がんばりやだからキツイ治療を何度受けても音をあげず、元気を取り戻してい
る先輩はがんばっているのです。

余った余白に、一言サインを作りましょうかと言うと、「いたい」などは言わない
人だという。

大好きな「お茶」という欄を作りました。

いつも静かに書を楽しんでいた先輩、病床では墨が使えないから先日いただ
いた素敵な筆ペンを使っていただくことにしました。

まもなく三月、最初に出会ったのは浜松まつりの会場で凧を運ぶ若い衆の後
ろから縄の尻尾を持ってニコニコと歩いてきた時でした。

まつり会所には毎年先輩が心をこめて書いた初子さまの名前が掲げられてい
ます。

先輩、皐月の空が今年も待っていますよ。

墨黒豊かなその字が並ぶ会所の仕事が待っています。

今晩にもお届けしますね。