姫に重箱、兄に花

カテゴリー │花ばなしい

姫に重箱、兄に花

不器用な父さんは大切な桃にごちそうを渡す。

おひな祭りの特別な料理を整えてくれたのは、すし屋の姉さんとネーネさん
二人。

「五時にお渡しできるようにしておきます」と連絡をいただき、浜松の駅南口か
らすぐの末広鮨に立ち寄った。

五時に、などと言われてもソワソワな気持ちでじつは、もうとっくに着いていて
時計を見ながら時間を調整する、男はこの位しか誠実なところは見せられない
のであります。

ぶん屋さんであつらえた立ち雛の風呂敷に包まれた二段重を受け取ると、
「ハイッ」と渡してもらったのは、桃の枝、ご馳走に添えられたのは二人の女性
らしい気遣いなのでした。

うむ、と考え、心づくしに添えていただいた花は持ち帰らず、現在闘病する先輩
の病院に届けた。
家族に「眠っていますが、起きたときに見えるところに飾りました」と言っていた
だいた。

何も楽しみのない病室に力のない後輩からせめてものお見舞いに使わせてい
ただいたのです。

家の桃、今年就職を迎える娘が包みを開き感嘆する中、姉さんネーネさんが
添えてくれたお品書を読み、はまぐりの意味を聞かせながら、二段重の美しい
ちらし鮨を食べさせた。

料理にも小さな桃の枝が顔をのぞかせていた。

父親としても、後輩としても共に無力である。

娘には旅立つ先での幸せを、先輩には少しでもお元気にと願う。

「食べないの?」娘には多い量に誘われたけれど、「お前のだよ」としか言えず
残り少ないつかの間の滞在に力をつけておけと思う。

いつもなら綺麗綺麗と桃の花、今年の枝は遠くでも咲け

ご家族の重ねがさねの優しさが、重い病を少しづつはぐ

花は咲けども心の中には小さな嵐が吹き荒れている春なのです。


同じカテゴリー(花ばなしい)の記事
紫陽花ひとり
紫陽花ひとり(2011-03-15 16:20)

ふきのとうの事情
ふきのとうの事情(2011-02-17 11:18)


 
この記事へのコメント
ありがとうございました

病室で春を感じていただけたようで
とっても嬉しいです♪

これからも季節を‥心を‥
伝え続けていきたいと思います
ご指導、宜しくお願いいたします♪
Posted by すし屋の姉さん♪ at 2008年03月04日 03:51
コメントいたします。
光感じました。
優しさや思いやりは、心の光。
風があるから花は綺麗に咲き。
風があるから花は綺麗に散る。

中年おじさんどうし、労わりあって頑張りましょう。
Posted by 大黒屋 at 2008年03月04日 09:25
イチローさんの「お前のだよ」という一言に ほろり・・・^^
Posted by サプリメント管理士サプリメント管理士 at 2008年03月04日 12:06
すし屋の姉さんコメントありがとう。
今日も桃をありがとうと連絡がありました、姉さんの添えてくれた心が病室でふくらんでいるそうです。
心つなげていくのはうれしいです。
Posted by イチローイチロー at 2008年03月05日 02:49
大黒屋さん、コメントありがとうございます。
やさしき心をいただきたくて人にやさしくしなくてはと思います。
Posted by イチローイチロー at 2008年03月05日 02:50
サプリメント管理士さん、娘とはなかなか困ったものであり、いとしすぎるものですね。
Posted by イチローイチロー at 2008年03月05日 02:51
イチローさんの先輩兄さんには後輩が慕う気持ち、娘さんにはお父様からの優しい気持ちがよく伝わったと思いますよ。花は心が安らいでいいですよね。またきれいなお花の写真アップしてくださいね。
Posted by かずとみーのママ at 2008年03月06日 11:16
かずとみーのママさん、こんにちは
花のあるところでのんびりしたい日ですね。
暮らしの中にはいろいろな嵐が吹きますが、前むきに書いていこうと思っています。応援お願いします。
Posted by イチローイチロー at 2008年03月06日 11:46
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
姫に重箱、兄に花
    コメント(8)