イチロー的こころ（旧版）

これ、Ｗ１２３というタイプ、今の前の前の前の前あたりのですから、相当に古い
年式ながら、ガツンと音がする鋼板の厚いタイプと知られ、世界のタクシーカー
として、ガンガンと使われている車、耐久性も高いらしいのです。
（このあたりが自分への説得材料だったりするのが、貧しい）



なにより、この真っ直ぐなウェストラインが美しく、Ｃピラー（後席の後ろの屋根を
支えている部分）のラインにうっとり、大きめに見えながら、さほどでもない寸法。

現存しているものは、適度にヨレていて、最近ではサーファーたちも乗るという
湘南カーの一つでもある。

このあたりの選択をし、２０年乗ってるもんねワシ、といっても通りそうなあんばい
なのが、中年の選択。

これより新しいとちょっと照れくさい。

古い皮のシートに座り、街をゆっくりと流す、大きめのステアリングをゆっくり切
って、曲がる。
なにより、多目的に倒れたりしない大きなシートが腰と背中を収めてくれよう。

毎日通る道沿いの車屋さんに２３８万というプライスをつけたこいつがいる。

そこそこか？　だろうな　待ってるな　行ってみようかな。

財布を見ればなにが、そこそこか　というところでもある。

手に入れる方法がないか　アレコレ考えてみる。

これで行くところを考えてみようかな　コンサート会場の地下駐に停める。

服を選ぶほど新しくもなし、ジーンズと夏のジャケットにポロシャツ。

海にいくなら、渋いアロハでも着ていきましょうか

だてに、白ひげなど生やすと、ますます大好きなホットハッチに乗れなく
なる。

贔屓目に見ても、４８歳には似合うと思うのだ。

ときに、仲間がベンツ系のコピーを考えていると聞く、コピーはシチュエーション
を考え、キャッチーな言葉を考える。

道にＷ１２３が停まっている。　ラフなジャケットで車の横にいる男

手前のビルから出ていく女性の後ろ姿。　カメラのピントは女性の背中にあう。

「ベンツで迎えに来てくれた」

なんてどうでしょうね。　古くてもベンツ、メルセデスは落ち着いて見える。

２０年前の車にステイタスはありません。　このシチュエーションなら２０年ぶり
の同窓会に向かうかつての恋人同士なんていかがでしょうか

それなりに、二人とも年輪を重ねている。　よさそうじゃないですか

さて、年齢の半分ほど前の時代のなら、もう許してもらえましょうか？

果たして相応の相手でございましょうか

などと考えてみる土曜の午後　まことに車話題なら筆が進むのだ。

こういうお仕事くださいね。