竹の子伸びた

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竹の子伸びた

竹やぶの下を透かすように探すと、ほら、ありました。にょっきり顔を出した
竹の子です。

本堂の床下から伸びた竹の子の為に、床も天井も穴をあけてしまったのが
良寛さんのお話、伸び盛りのものをすくすくと伸ばしてやろうという優しい心
のお話です。

昔話にも、竹は出てまいります。

冬の寒い雨の日に旅をしていた二人が、泊まるところもなくて難儀をしていま
すと、一軒の家を見つけます。

一人のおばあさんが住んでおりましたが、泊めることはできないと言う。

旅人は、おばさんに「この国では竹を食べないのか」と聞けば、おばあさんは
大層おどろいて、冬の最中に竹など食べられるはずがないと言う。

ならば、竹の食べ方を教えてしんぜようと旅人が言いますから、おばさんは
竹を切って鍋にいれ、どんどん火をくべて煮始める。

どんどんくべられた火ですっかり衣服を乾かし、暖を取った旅人に、おばあさ
んが、いつまで煮ても竹は食えそうもないと言います。

旅人は驚いたように、おばあさんに言う、「おばあさん、鍋に虎の油を入れた
かい?」

食べ物の乏しい昔のお話であります。

竹や竹の子は暮らしに密着した恵みであります。

道沿いの崖に生えた竹の子を近所のおじいさんが掘り、通りかかる人に持っ
ていけと配っている。

生えすぎても困ってしまう現在の竹、生まれたばかりは誰も歓迎していただい
てゆくのです。

車の後ろにコロリと放りこんでもらった竹の子の、青い香りをかぎながら車を
走らせたのでありました。


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