イチロー的こころ（旧版）

初凧が初子さまをその下に入れて運びこまれると、糸目を広げ、揚げ糸を
つけ、尾を調整してつければいよいよ凧揚げです。

凧の先を持つ突き上げが糸先に用意ができたことを告げ、糸先は上空に
他町の凧や揚げ糸がなくなる瞬間を狙って凧揚げを開始します。

凧男の華は、揚げ糸を持つ糸先です。

他のものは、凧場を横切って歩くものが初凧についた糸目に触れたり、揚
げ糸を掴んだりするのに注意しながらラインをつくり、糸先が揚げる瞬間に
集中します。



凧の方から手をあげ、一番の糸先、そのはるか後ろの２番手に揚げ糸の
張りを確かめ、次の瞬間、凧を舞い揚げるのです。

糸枠（揚げ糸を巻く車輪付の糸巻）あたりでは、初家さまが我が子の凧が
見事に揚がることを祈りの気持ちで待っています。

凧男たちは、その期待に見事にこたえるべく働くのです。



揚がった初凧は若く美しい凧であります。
家紋を入れ、左下の扇面には初子さまの名前をいれ、さらに手形を捺して
魂を込めてある、初子さまと同様に最も凧場で大切にされるものなのです。