イチロー的こころ（旧版）

SEAES-BARを終えて自宅に戻り寝酒となる。

じつは九月に岐阜の奥、富山の県境あたりで買った唐辛子を冷凍庫で保存して
います。
ラグビーの試合応援で東海北陸道を走り、トンネルが多くなる県境あたりの小さ
なPAの店で見つけたものでした。

愛用の白長皿に取り出せば、カチンと陶器のような音を立てている。

二ヶ月前に遠い山の里で収穫された唐辛子は色も変えず熟れることもなく、色も
変えずに家の冷凍庫の中にいるのです。

かつていただいた一本の唐辛子を薄い輪切りにして入れていただきました。
あまりに辛くて、その一本が一週間ももったのです。

その唐辛子を思えばきっと一年分の備蓄となるはずの量があるのです。

きれいな緑、深い赤の唐辛子、カツンカツンと皿に置けば美しい陶器として楽しん
でいる。

火の酒に火をつけてしまうのが怖いからね。

ゴクリと喉に酒を送りこみ体の底に火を注ぐ。

カチンとした唐辛子をまた袋にしまい冷凍庫に戻す。

火の時間はこれでおしまい。まぶたもそろそろ降りてくる。

みなさん、おやすめなさい、明日またどこかで出会いましょう。