引いてこそ立つ

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引いてこそ立つ

一昨日、わが町の遠州浜凧揚げ会は20周年記念式典を開催しました。

一昨年の7月にやがて来る20周年の年に、なにか記念になる事業をしようと集まり、
20周年記念誌を作ろうと決めた中に、二人の男がおりました。

21年前に発起人会を作り、遠州浜組の代表となり、その経緯から初年度から3年
凧揚げ会長と組長を兼任したのは堀内忠彦さん、いつもその脇にいて総務組織を
作り、環境づくりに奔走した守田孝さんの二人でした。

立ち上げたばかりの組に集まったのは、設立を知った凧揚げ経験者、参加だけの
経験者、まるで凧揚げを知らずに参加した者もいた。
組織づくりをするには、凧揚げだけ出来てもだめ、また総務的仕事だけ出来てもだ
めである。

この二人が硬軟の分担をし、組織づくりを噛み砕いて説明する中で次第に人が層を
作り、今の組織が出来上がっていきました。

組織とは不思議なもので、黎明期に考えつくされた組織論があれば、よいものを継
承し、筋肉としながら肉をつけていきます。

今振り返れば、まったく違う二人のキャラクターが、凧揚げ会の今を作っていること
に気づきます。
でも、それには20年もの年月がかかり、少しづつ醸成していったのだと思います。

お招きした来賓は誰もが20年の歴史のどこかで、常に心を砕いていたいた方たち
でした。その一人ひとりにお礼を申し上げ、その労をご紹介したいと堀内さんは弁を
振るいます。

長く続く紹介は20年の月日を振り返るものでした、紹介された方は皆、凧揚げ会作
りの思い出を長く楽しく話されました。

司会をする私に堀内さんが耳打ちし、「最後に話してもらうぞ」と目くばせしました。

「私が一番頼みとし、20年間助けてくれた最大の功労者を紹介します。」

私たちはもうとっくにその人が誰かを知っていて、彼の席の後ろに立ち、照れるだろ
うその人が立ってもらえるよう拍手を送りました。

凧揚げ会は誰かが作ったなどとは言えない組織です。
作り、その組織を育て、引き継ぐ人を次々と生み出し、当初からのルールを伝えて
いってこそ会として成立するのです。

立役者は何にもいて、それは参加する一人ひとりでもあり、誰でもないのです。

「俺じゃない、彼がいなければ」と堀内さんは言いました。

照れつつ守田さんが短い挨拶に立ちました。

会の次第が全て終わり、来賓の皆さんがお帰りになると、二人は満足気に握手をし、
ホッとした笑顔を交わしていました。

「俺じゃなく、彼がいなければ」、凧の粋とは、俺が俺がではありません。
誰かをあげてこそ、力が合わさりもっと大きな力になります。

そういう例を見た私達は、自分たちもそうしたいと考えました。
よき相棒を持ち、なんらかの仕事をし、最後に相手を立てあうのです。
そういう教えをもらって帰りました。

一昨日のエピソードの一つでした。 凧って本当にいいものですよ。


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