ヘビさま

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「オヘビイチゴと言うのよ」

 摘んできたヘビイチゴを見せると、山のお母さんは言う。
「食べられるんだから」
 と口に含んでしまう。 それを見て70歳だというお母さんの友人も口に含む。

 たくさん食べなければ平気なのだそうだ。でもおいしくないんだって

 男はこんな時に意気地がなく、食べない。第一一番苦手なヘビだ、蛇だ、へびだ。

 なんてことにビビッていると、さらにすごいものに遭遇してしまった。

 ヘビの抜け殻である。慌てて逃げようとすると、山のおじいさんは
「これはここの主の青大将だよ」
 なんて言う、さらに恐怖は増す。

 「長いわねえ」
と女たちはそれを持ち上げて
「私の背より長い」
 などと言う。

 男は女の後にその抜け殻を持ち上げて背と比べてみる。
「2メートルはあるよ」
 それだけで精一杯なところながら、ある期待を込めている。

ヘビの抜け殻を財布に入れるとお金が入るという俗信を思い出したからなのだ。

2メートルの抜け殻を入れるような財布は持っていない。
持っていたとしても、そんな財布を開けるたびに2メートルヘビに会うのは嫌だ。

かくしてヘビの抜け殻は長ーくそこに横たわり、次の人が驚くのを待つことに
なったのでした。

お金持ちにしてくれるヘビの抜け殻さま、腰抜けにもちょっとばかり、よろしく
お願いいたします。


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