まだ朝早い公園の薄暗がりに陽が射し始めれば、シャガの花が目を覚まし
ます。
まだ眠たそうな花は陰に、陽ざしはまた直線にしか当たらず、シャガの群れ
は順に目を覚ましてゆくのです。
陽ざしの中のシャガの指、その大きく開く手指が空をつかもうとしています。
薄暗い大樹の陰の寝床から目覚めて大きく伸びをして今日の太陽をつかむ
シャガは小さな菖蒲などの仲間です。
もう黄色や白の春の花から紫の花が生まれ出す。
春はいつのまにか育ち、少し大人の色になってゆくのです。
そしてその手指で四月をつかまえにいこうとしているのです。