イチロー的こころ（旧版）

今のように外食店がなかった時代、高校生は喫茶店に入って
はいけないと言われていた。
つまりはそこへ通い常連となる我らがいたというわけである。

世界の伝統色のその色と名前を見て何が書けるかに挑戦してい
ます。

駅のターミナルに近いその店はカウンターにボックス2つとい
う小さな喫茶店で、ママと勤めのヨーコさんがやっていた。

高校生の我らは上着だけは脱げば中はカラーシャツくらいの
オシャレはしていて、放課後のほとんどを店で過ごしていた。
なぜならばママの娘は高校一年、それも可愛かったからだ。

ちょっとだけ不良がズラリそろっても彼女は全員の妹のよう
なもので、店を手伝う彼女を狙う我々をママがヨーコさんが
監視していたものだ。

2日も店に行かなければヨーコさんから家に電話がかかって
くる。店が忙しければレスカだのピラフくらいは門前の小僧
で手伝ってつくることもできる我々だった。

卒業してしばらく、市街地再開発でその店は無くなり、また
再開発後に開店したと聞いたのはそれから10数年経っていた。

一人娘だった彼女がママとなっているかと心騒ぐところなれ
ど、かつてのちょっと不良はまさにチョイ悪な齢となってい
る。
ヨーコさんはその名のとおり、どこかへフラリと行ってしま
ったと聞いている。

さてその店にどんな顔をして行こうと思っているうちに数年
が経ってしまっている。
ママは何才か、さて彼女は当時のママより年上のはずだ。
こっちも髭が白くなっている。