遠州焼き

カテゴリー │メシメシ探検隊

遠州焼き

たまごが入っていればごちそう。

遠州焼きは駄菓子の奥でおばちゃんが焼いてくれるお好み焼き。
薄暗いお店の奥で食べ盛りの子供が通い、焼いてもらえば新聞紙に包んで
くれる。

あの新聞紙に包まれた暖かい香りとソースの匂いが遠州っ子の体験になっ
ています。

遠州焼きは小麦粉にネギ、沢庵が入っているのが特徴です。
それにたまごが加わればごちそうになる。

もちろん家で食べるのもこの遠州焼きでした。

父が鉄工場で切ってもらった1cmほどの丸く厚い鉄板は、黒く油がしみさせ
て台所にあります。

これがコンロに乗せられて、鍋いっぱいのネタができれば子供だった僕らは
大喜び、お腹いっぱいにお好み焼きが食べられるのです。

鉄板が熱くなり均等に焼けるまで家族それぞれに皿を置いた膳を囲みます。
3人兄弟のうちは、まず1枚目は父へ、次に長男の僕、弟、妹に丸く焼けた
お好み焼きが配られます。

母はまず僕らが満足するまで食べるまで焼き続けてくれるのです。

母がまるく薄く広げたネタのまわりをコテで持ち上げてやけ具合を見る。
表面が乾いてきたら、上手にひっくり返します。

ソースと、醤油、鰹節、青海苔などをお好みにつけていただきます。

家族に一周するまでに自分の分を食べれば、次に焼けるお好み焼きを
皿に乗せてもらえる。

弟と競いあうようにお好み焼きを食べました。

もう今は大人ばかりになり、あの大きな鉄板を使うことも、弟妹もそれぞ
れの家庭を持ち、お好み焼きを囲むこともなくなりました。

だから時々、こんな遠州焼きが食べたくなる。

「かあさん、もう一枚食べられるよ」

残り少なくなった鍋のネタを見て僕らは言う。

大きくおなりと、せっせと焼く母の笑顔がそこにありました。


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この記事へのコメント
また食べたくなっちゃいました!
シンプルな材料で、親しみやすくてパクパク食べたくなるお好み焼きで、美味しかったなぁ〜(^^)
Posted by なお at 2007年02月10日 19:15
小学生の頃、お小遣いで食べられる最高のご馳走でした。
駄菓子屋さんでメニューにはない50円のお好み焼き。
(小学生限定だったのかな?)
懐かしいなぁ~
20円プラスで玉子が入りました。
ソースはトリイソースでした。(^^)
焼きそばも50円だったんですよ!
みかん水とおせんべいにするか、一品豪華主義でお好み焼きにするか
よく迷いました。
ガチャガチャもやりたいから飴玉だけにするとか...
たま~に清水の舞台から飛び降りる覚悟で100円で
お好み焼きと焼きそば!
今、思えばモダン焼きの走りなのかな?(笑)
Posted by dekaichi at 2007年02月11日 00:16
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    コメント(2)