九月の芳香

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九月の芳香

早く着きすぎた袋井で少し休んでいようと公園に車を乗り入れると、甘く濃密な芳香
が流れてくる。

その主がわからず、車を停めても山の斜面には深い緑の茂みばかり。
大きな葉の葛が暑かった夏の勢いそのままに密生しておりました。

そこに子供の頃にも見たことのある濃紅色の花穂が立ち上がっている。

まさかと思って少し藪をこぎ、花穂に鼻を近づけてみる。

確かにこの花からこの一帯を包む芳香が流れていたのでした。

雨の前だからでしょうか、湿気のある暑さと雨を呼ぶ雲が流れる緑濃き斜面は空
気が濃密になり、その沈殿した空気をこの香りが満たしている。

その藪に立ち、空気を支配している花穂の前にひざまずき、香りを吸ってクラクラ
としている。

濃い香水は苦手です。そして濃い化粧をする人を周りに知りません。

芳香としか伝えられない香りの中で汗をかいてそこにいる。

葛は長く太い蔓をからませて一面を蹂躙する藪の侵略者でありますが、九月には
その香りを放ってその勢力をさらに誇示する。

苦手なはずなのに鼻を何度も押し付けて嗅ぎました。
強い香りのとりこになって、そこで汗をかいておりました。


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