諸人登山

イチロー

2009年11月20日 09:10



葛飾北斎が実際に旅をして見たという富士を描いた富嶽三十六景を見て何が
書けるか、そんなことを思いついて四十五日目、楽しんできた毎日も明日でお
しまい。

今朝は第四十五景 諸人登山(しょじんとざん)です。

富士を崇める富士講の信者は明け方より登りはじめ夕方に山頂で夕暮れを迎
えると解説にあります。こちらは富士吉田川の登山道であります。

富士好きなんていえどもまだ登ったことがない、体力に自信もなく富士は眺めて
楽しむものぞなどと言っておりますが、これは情けない。
常にオンボロ車に乗っておりますから静岡県側からかの五合目にたどりつくの
さえも、車でさえ息つぎを続けるのですから、乗っている男など何をかいわんや
と思っております。

何もなくても冬の富士を眺めれば言うことなし、窓をあけシートを倒して行儀悪く
ダッシュボードに足をのっけてコーヒーなどを飲むのです。
冷え切るまで富士を見上げれば帰ってくる。
こんなことを何度続けたことでしょう。

東名高速で浜松から1時間45分余り、そこから車は正面の富士山を目指す。
寝不足で見上げたのは深夜の会社からそのまま向かったからなんて時もあり
ました。

明日でおしまい、富士に未だ登らない男は静かに明日を迎えるのです。
せめてせめて、富士山に慕っておりますと告げているのです。

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