イチロー的こころ（旧版）

「おりといで」

はる姐さんが台所で呼びます。

姐二人、坊一人、男一匹という序列の家でありまして浜松の下町、山下にあ
る町家には小さな店がついております。
ご存知小間物屋の「ぶん屋」の台所であります。

「もう時間なの」　タタンと軽く階段を鳴らして降りてまいりましたのが、ぶん屋
の坊ちゃんことチョビであります。

同じ師匠をもちまして、ぶん屋は兄弟子にあたりますから、頭低く通っており
ますが、一匹の弟分ともなればこの家でははる姐さんのご機嫌を伺い、坊ち
ゃんにおべんちゃらを言う。
軽い立場なのであります。

はる姐さん、台の上の器から好物のカツブシをまぶしたご飯を召し上がってお
りまして、この台もおごっております。

「姐さん、これは猫足膳じゃあございませんね」、なんて申しますと　「知ったよ
うなことをお言いでないよ」、なんて叱られてしまいます。



そこに坊ちゃんの登場であります。

末っ子ですから甘えん坊でございまして、のんびり育てられておりますから

「おはよう」なんて言ってもらいますから　「よいお毛並みで」なんて言いますと

姐さんがまた一睨み、そろそろ始まりますラジオを二人と待たせていただいて
おります。

木曜はぶん屋の兄さんが噺家よろしくＦＭＨａｒｏ！の遊びの達人に生出演する
日でございまして、高座のように思っていまして心待ちにしております。

チャンチキチャンチキと出囃子で出てまいります。

「今週はこんなことぉ話そうかと思うんだが、おまいさんはどう思う」なんて聞か
れますが、一昨日伺った時には御酒をいただき過ぎまして、今週のお題を聞
いてない、となりますと気になります。

「で、姐さん、今日はどんな話を？」なんて水をむけてみます。

「とうへんぼくの割には気が利くから、心配はないのさ」

「ぼくね、心配してないんだよ」

二人して安心をされているという、ならば後は楽しみに聴くだけであります。

ご用とお急ぎでない方は、どうぞ兄ぃの放送を聴いてやっておくんなさい

11時１０分頃より、ＦＭHaro!であります。