イチロー的こころ（旧版）

昨日は東大阪市の近鉄花園ラグビー場に行っていました。

今年は自動車業界を襲った不況もあり、今までチームが補助してくれて格安で運行
されていた応援バスは新しい形で運行されていますが、近い（九州や北海道での試
合もありますから）会場には小さな旅を兼ねて車で行ってみようと思っているのです。

応援の心は変わりませんが、大勢でバス中で気勢をあげてゆくのも楽しいことです
が、往路復路に寄り道を計画しながら行く車の旅も楽しいものです。
浜松を出発し、愛知、三重、京都、奈良の生駒山を越えて東大阪に到る道はトップ
リーグ開幕年から続けている応援行で味わえない小さな旅でした。

高速を（ナビの事故で）信楽で降りればそこは陶器の山里、狸でしられる信楽です
が同じように見えていた狸が窯元ごとに表情も姿も違うことを知りました。
また昭和やそれ以前が残る山里の秋を楽しむこともできました。

信楽を越えればそこは宇治の里、狸にかわってお茶の文字が見え始め、うれしい
ことに産業市ではお茶も産物も振舞われていました。
まるで知らぬ町を走れば歴史の道を知ることができる。いつも花園からながめてい
た生駒山を越える旅は楽しいものでした。

あちこち観光しながら到着した花園は試合開始の時間、応援する仲間の顔を見つ
けて1000円のバックスタンド席に陣取り、いつものように応援したのです。

前節大勝して2勝２負２分けの成績のヤマハは同じ旧関西リーグの強豪神戸製鋼
コベルコスティーラーズとの戦いです。

ラグビーとは楽しいもので、７年も応援しているのに未だ細かいルールがわからな
い、けれど前に前にと進み、相手の陣取りを阻み、相手陣の最終のラインを超えれ
ば得点となるだけ、花園の美しい芝の上で真っ赤な神戸製鋼とブルーのヤマハの
コントラストが押し、押し返す様子を見るだけで楽しめるのです。
　
昨日の試合は巧者神戸がなぜかヤマハラインを押し戻すことができない、進めば
ヤマハに阻まれ、右に左に展開すれどことごとく失敗して進むことができません。

ヤマハは神戸のその状況を見て、早い展開で前へ進み、フィニッシャー（最後に
得点にもってゆく選手）として津高選手にボールを集めて３トライをあげる。

隣に座っていた（こういう出会いがうれしい）花園オヤジ（花園のバックスタンドに
はラグビーに詳しい人がたくさんいます）さんによれば、ＳＨ矢富選手が神戸の
調子に乗じて掻き混ぜてヤマハが神戸を上回ったという。

もう一つのトライはその矢富選手が相手ディフェンスの間をかいくぐって自ら60ｍ
の独走であげた。
走りだせば早い早い、矢富選手は神戸の選手を諦めさせる走りを見せました。

他会場で上位にいたチームが負けた為、ヤマハはこれで5位となった。
全14チーム中5位でトップリーグ前半戦を終えて１ヶ月の中断（選抜されたジャ
パンチームが11月戦う為）となる。

ラグビーは楽しむもの、そこに難しいルールや戦略を覚えてラグビー通になるこ
ともよし、選手が前に前にと進みトライをとる爽快感を楽しむもよしである。

ラグビー好きは試合変わりのヒーローとして矢富、津高選手に拍手を送ったのだ
が、今回はチームがよく動いていた。
ハードなアタックやタックルが続き、石神勝選手が、山村亮主将が、中垣祐介
選手らが痛み倒れていた。

トライの選手の他に14人の力あり、痛んだ選手は皆立ち上がり、勇気を持って
最後まで試合に臨んだ。
席のよいこともあるが山村主将が強烈に勝利にこだわるのを見た。
一緒に入団した仲谷聖史選手が相手の持つボールをもぎとるのを見た。

スポーツは勝ち負けの場ながらそこに起きること、起きたことに感激することで
我々ファンは試合に通う。
難しいルールより、眼の前で選手のがんばりを見れば満足するのである。

勝利の笑顔でバックスタンド前で挨拶する選手たちは「見ててくれましたか」と
手をあげる。我々は「見てたぞ」と笑顔になる。
勝利に興奮して会場を後にする「ラグビー楽し」のファンなのである。

最後に隣でブツブツと解説してくれた花園親父さん、「五郎丸は入れて当然
なんや、ショットでなくチームはトライをとらなきゃあかん」

なるほど、先人はヤマハはまだまだトライを取れるのだという。
うれしい解説付きの花園へまた来ようと思った昨日でした。