イチロー的こころ（旧版）

軽いめまいの後、吐き気がやってきて、落ち着く。

子供が書く車の絵とはかつてボンネットがあり、トランクがある凸という形が、
今や３列ワゴンの流行で□（四角）な形に車を書くと言う。

車の形は育つ環境によって違う。近い未来には車は子供たちにより、どんな
形で表されるものになるのだろうか

我々の世代は車とは□で、タイヤを４つ書いたものなのだが、これに類さない
車を経験したことがあるのだ。

フランスのシトロエン。
シトロエンのエクステリアは後ろのタイヤハウスがない、類を見ない形として
現れ、我々に軽いめまいを与えた。じつは吐き気に似た感覚を持ったことが
あり、それ以来、シトロエンと聞くと少したじろぐ。

そしてさらに特徴的かつ独創的なインパネを見れば、フレンスとはいかに独自
なセンスを持ち、かつ独創的かつ独善的であるかが想像できた。

我々には想像すらできないデザインなのだ。
このステアリングを普通ににぎり、車を運転しているところが想像できない。
内装マニアには、これを説明なしで誰かを乗せることも想像ができない。

のだが、親が食べていたものを美味いとは思わなかった子供が、いつしかそ
の苦味、臭みを好むことになるように、この”めまい感”にはまる。

独自なものは個性であり、デザインされたものは理解であり、さらに持つ喜
びの一つになる。



絵画における抽象という想像を喚起させるアレの魅力に似ている。

工業生産品である限り、一人のデザイナーの遊びだけでは製品にならない。
そこにはデザインの説得力がいる。

それを超え、シトロエンという独自な”くさや”を作り、、見事にそのアジを作る
ところに、おフランスの粋があるのだ。

ミーには理解不能ザンスと言うなかれ。

ベレーにカフェ。高級なソファ。素材の形をありえないほどに加工する芸術的
な料理を作る国の血が作る芸術的工業製品には、それなりの勉強とセンスと
理解力が必要なのだから。

赤いソファに座り、ワインを飲むのはチープシックなお洒落を楽しめるパリジェ
ンヌでしょうか

確かに、ここでヴィトンのバッグを持ちながら缶入りの焼酎を飲まれても困る
のである。