雪夜のブレーク

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雪夜のブレーク

クルマには流行があり、それは車種であったりメーカーであった
りするのだが、最近街でBMWをかつてないほど見かける。

かつてからさほどの台数を見ることがない唯一のメーカーだろう
と思っていたから不思議だとも思うのだが、中古車の価格をみれ
ば”こなれ”時期となり、この選ばれなかった最後のよい車が街
にあふれるようになったのだろうと喜ばしく思っている。

さてスノーブレークである。

風花と思っていた雪が夜になって路面を白く変え始めたから、腕
に自信のないドライバーの一人として早めに帰ってきた。
そして友のブログで久しぶりにこのブレークを見てときめいたと
いうのがかつての”くるまにあ”の動機である。

シトロエンはさらに選ばれなかったよい車であり、さらに選ばれ
なかっただろう車がBXブレークである。
広大であり、ぺったんこであり、宇宙船である。

シトロエンを見るときはそのリアシートがあるだろう場所を確認
してはその乗り心地を想像する。
おなじみのフネフネ感を持って走るこの車のシートのどこがベス
トなのかを想像すれば間違いなく後席である。

車のデザインはじつにドライバー優先である。購入するのがドラ
イバーならばそれは前席優先となり、デザインの納まりはいかに
ドライバーに擦り寄るかにかかっている。

いかに家族想いだろうと後席を優先するような(最近の家族向け
ワンボックスオーナーはいかがなのか)ことはない。

そこで代々のシトロエンを見ればいかに後席の居住性がよいかが
デザインであると主張するのに気づく。
それを知らせるのがシトロエンのデザインである。

長い全長の中に「車は人が乗るものなのさ」と人に最もスペース
を稼ぐかがデザインであると教えるのである。

シトロエンは車より歴代宇宙船であると例えられる。
それは長い旅をするならば何よりもリビングが大切なのさと宇宙
人たるシトロエンデザイナーは言うのである。

宇宙船シトロエンは空力上ファストバックをとる。
のだが、後席のパッセンジャーの頭をしっかりとクリヤしたとこ
ろでルーフを折るのである。

このブレークの魅力は後ろ斜めから見る長やかなルーフである。
充分なる後席のさらに後ろまで続くウィンドウである。
ハイドロを落としてしまったあまりにもぺったんこの白いゴキブ
リ感でもある。

一度ならずこれを追っては走り、驚くほどの長さのウィンドウを
眺めるとき、選ばれない宇宙船のすばらしさを自分こそと思った
ことか。

外は雪である。部屋はストーブでヌクヌクである。
そして宇宙船をながめては「選べなかったあなた」の一人である
ことを知るのである。


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