イチロー的こころ（旧版）

「サッ」とあぶってコガコガのをいただきます。

夏はなんでも「サッ」というのが涼しげで、サッと銭湯、サッと出て、サッと車でいつも
の店に行く。

決まりの椅子にサッと座り、サッと定食を頼む。ここにサッと出てまいりましたのが、
サッと焼いたあぶらげでございます。

もともとあぶらげですから、あぶらっぽいわけでありますが、これをサッとあぶって
ありますから、表面のあぶらがカリカリッと焼けてコガコガになる。

これにショーガ少々サッ、ネギ少々サッ、ショーユをひと垂らしサッ、あぶらげから
こぼれたショーユがサッと白メシにしみこみます。

サッと箸をつけ、サッと口に入れ、サッとご飯も口に追加投入いたします。
キュウリの浅漬け２キレもサッといただきます。

サッとショーユがしみた「あぶらげご飯コガコガ風ショーユ風味」に喜びの表情にサッ
ツと変わる。

隣に座ったおじさん、推定年齢５４歳メーカー勤務単身赴任風も同じ定食をサッと頼
み、１５秒遅れでサッと口に入れています。

「うまいね」・・・・「うまいうまい」、オトーサン族はサッと分かり合えてしまいます。

メーカー勤務さんもこちらも車です。

毎日来る５８歳定年まじか近所アパート住まい風チャリンコオトーサンはさきほどか
ら「ビール、瓶でね」をサッと頼んで楽しんでおります。

サッと目をあわせ、「俺ら車だもんね、くやしくないもんね光線」をサッと浴びせて黙
々としかしサッと夕定食７８０円に取り組む二人なのでありました。

「ごちそーさん」、食べ終り、ショートホープライト１本をサッと吸いサッとお勘定して

サッと帰ってくる。

あまりにサッサッとしすぎて、ドッと疲れたりもするのでありました。

粋な男になるのもむずかしいぜ＜謎の愛に満ち溢れたぶん屋の兄ぃ