ちょっと15分

カテゴリー │焼きモノ書き

ちょっと15分

新しいプロジェクトのはじまりに、話が弾みコーヒーをお代わりする。

「まだいますよね」

マスターが声をかけてドアを押して出ていくのは、食事タイムがはじま
る前に、足りない野菜などを買いにいくらしい。

店の中が常連ばかりなことを確認して、マスターはいそいそと出かけ
てゆく。

「客が来たらこまっちゃうなあ」、向こうのテーブルの人が言えば、

「コーヒーぐらいなら、俺が出して金を取っちゃいますよ」、なんて声
を出すものもいる。

仲間が常連の店は、居心地よく全員がマスターの帰りを待つ。

ココアだけで見開きのメニューが埋まり、コーヒーはさらに二冊のメニ
ューを産めている。

打ち合わせの頭に気合を入れ、乾く喉を潤す為にコーヒーを飲む。

しばし覗き込んで、3人で顔を見合わせ、アメリカン、カフェオレ、バナ
ナジュースなんて、気のきかないオーダーで長居をしていたのです。

「やあ、ごめんなさいね」

マスターが帰ってくると、それぞれが挨拶の手をあげ、それぞれ煙草
を一本吸うほどの時間の後に出てゆく。

我々の打ち合わせはさらに密度をあげ、コーヒーもバナナジュースも
空になる。

高校の頃、たむろしていた喫茶店でも同じように仲間と店番をした。
誰か仲間が来るたびに、交代でぎこちなくコーヒーを淹れて店の稼ぎ
にした。

喫茶店文化があった頃、常連の喫茶店を誰もが持っていた。

行かないでいると店から心配して家に電話がかかってきた。

「マスター、ごちそうさま」、常連と行けばすっかり常連候補の気分と
なる。

いまさら飲み屋の常連となるより、馴染みの喫茶店を持つのもいいな
と思う。

同年代より先輩たちが集うJAZZが流れる店。

「また行きますからね」

※写真提供:「Round table」ギャラリー通信!どの


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