イチロー的こころ（旧版）

丸くて”ころんころん”としていて割れている塩まめを知っていますか

青えんどう豆でできた塩味の豆はずっと昔からある、ビールのおつまみ
です。

夏の夜、汗びっしょりになった父がランニングシャツを脱いで上半身裸で
縁側に座ります。

「やあ　あれあるか」、母が袋から出してお皿にザラッとあけるのは白く
て割れている塩まめのひと盛なのでした。

それを見ている三人の子供は僕と弟と妹です。

塩豆は子供にはちょっと塩辛すぎますが、弟も妹も父から一粒もらおう
と横についています。

少しお兄ちゃんの僕は「カプカプカプ」とコップに注がれるキリンビール
を見つめています。

飲んで見たいなと思っています。

父は僕の手の平を開かせて、数粒の塩豆をのせてくれます。
弟と妹はそれを見ています。　

だから一粒づつ手に乗せてあげるのです。

残った塩豆をポイッと口に入れ、カリリッと噛み潰します。
プロレスを見ている父の目を盗んで、コップに残ったビールをなめてみ
ます。

ブタの蚊遣りが蚊取り線香をいぶしています。

塩豆は大人が晩酌するときに食べるものです。　塩辛くて丸くて割れて
いるカリリと食べるおつまみです。

※写真提供：「Ｒｏｕｎｄ　table」ギャラリー通信！どの