拝啓母ちゃん

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拝啓母ちゃん

あることで落ち込んだ母を元気づけようと母に携帯を買ってくれたのは
妹でした。

76歳の手習いで携帯電話を持った母は食卓の上に充電ホルダーを
置き、携帯電話の置き場所を決めて一日中携帯を眺めているのです。

「私にできるかなあ」と母が手にした携帯は、お年寄りにも大きな文字
やわかりやすい操作で定評のある先代のドコモらくらくホンでした。

「ここを押せば私に直接かかるからね」と1番から3番までのワンプッシ
ュでかかるボタンを自分と僕と頼りにする叔母(母の姉)に割り当てた
妹から説明を受けて母は携帯を使い始めました。


今まで家の電話に出るには一度座を立たねばならず、子機の操作の
難しさを嫌って電話嫌いになりかけていた母は、携帯を持つことで積
極的な社会参加をはじめました。

「あやちゃん(叔母)がねえ・・・」、「しげおがねえ・・」と今日電話した
人の話を母がしてくれる。

「そろそろ帰ってくる?」とひまな時間を見計らって電話をしてくる母は
家で一番親戚の動向を知る人となったのでした。

「メールおしえて」と母が言い出すのはがんばり屋の母だから当然の
こと、早速子や孫などのアドレスを登録すると、左手で形態をにぎり、
ゆっくりですがメールを打つようになった母の成長はめざましいもので
した。

「今日は何食べたい」というメールが入るのは午後のこの時間、近く
のマーケットに食べたいものを買いに行ってくれたり、育ててくれた時
の懐かしいおかずを一品加えてくれるようになったのです。

携帯は閉じこもりがちな人を多くつくっていると言いますが、あまり外
へ出られなくなったお年寄りが社会につながる元気づけの道具ともな
りえます。

「昆布の煮たのが食べたいな」

50歳にして母に甘えることができるのは、直接の電話でなく母の心
待ちにするメールが便利なのです。

「わかったよ 楽しみにしておいで」、母はもう漢字までも駆使して返
信をくれるようになりました。

ちょっと元気がないかなと思ったら、お父さんお母さんに携帯電話を
実例ありきのおすすめなのでした。

拝啓母ちゃん、お元気ですか、今日は昆布を楽しみにしているよ!


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