ひねりんぼう

カテゴリー │焼きモノ書き

ひねりんぼう

「だいたいおまいさんは、素直じゃないよ」

なんて、この歳になってもお小言をちょうだいいたしまして、控えておりますと

「考え深いのは美徳でもひねりすぎたら、スネたようにおもわれちまう」

お小言は厳しくとも、ちゃんとこちらの心を見抜き育てようという暖かい気持ち
があるから、うれしい。

世の中に、五十男をつかまえて、わざわざ小言を言ってくれる人もいない。
関心を持ってくれているだけでもありがたいとおもわなくちゃいけない。

それがうれしくて、顔を出しては小言を言われてくる。そんな関係が続いてい
る。

それでいて、「おまいはどう思うね」と相談をかけて立つ瀬をつくってくれるか
ら、あたしは考えられる限り話しちまうんだけど、それを真に受けてそのまま
用いないところが敵?ながらあっぱれでありまして、ちゃんとひと色つけまし
て、自分風にする。

ま、そんな関係ってえのはお互いによいものであります。

そのうち、こっちが話した話なのを忘れちまっているようで、お小言の中に出
てきたりするのも面白い。

だいたい、いつもつきあう仲間なんてぇのはそんなもんで、一緒に育ってゆく。
年上だあ年下だあなんてこともなく、みんなで一緒に経験していくのが人生
ってもんだね。

誰だってそりゃあ真剣に考えりゃ、不安なものだけどね、それを聞いて一緒に
不安だ不安だなんてやるのは友達じゃないよ。

「そりゃあ考え過ぎってもんだ」とやわらげて、「考えようによっては、考える余
地がまだあるってえことだ」なんて展開してくれるのが友達ってもんだ。

お互い早く帰って寝ちまおうなどと体を労わりあうのも、この歳ってもんだ。

ひねりにひねってムーンサルトしてもしょうがないからね。

ひねりんぼう、さぼしんぼう、びんぼう、こんなのは好かれやしねぇよ。

友なんて自分の鏡なんだから、あいつにもこっちが鏡のはず、互いに磨きあっ
て生きていきましょう。

あ・・・そのハッて息をかけて磨かないでおくれ、気持ちわるいねえ・・・
秋の景色みたいに、まなこスカっと開きまして、生きてまいりましょう。

※写真提供:「Round table」ギャラリー通信!どの


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