2009年08月12日12:08

もとより落語の世界が好きでありまして、落語を聴いたり読んだりしており
ますとその世界の風俗に興味を持ちます。
風俗と申しましても昨今言う風俗ではありませんで、世の中の暮らしぶり
という意味でございます。
親父が本をたくさん持っておりますので、その棚から「明治大正風俗語典」
という本を持ち出しまして読んでおります。
古い時代の言葉からその頃の風俗を紹介する本でございまして興味深く
読んでおります。
その中に「三助」が出てまいります。 明治頃までは多かった職業で主に
銭湯で客の背を流すということで知られておりますが、名前どおりにこの
三助は「釜焚き」「湯加減の調整」「番台業務」の「三」つの役を「助」ける湯
屋の従業員でありました。
私、若い頃は浅草の隅田川をはさんだ向こう岸の向島というところで修行
をしておりましたが、サウナが好きで浅草のサウナまで出かけることがあ
りました。
そのサウナに三助さんがいたんです。
明治の頃の三助さんは背中を流してお金をもらっていたそうですが、浅草
のサウナの三助さんは客が入ってくると背中にとりつきます。
垢すりのようなもので背中をザッと流してくれますから気持ちがいい。
若い時分ですので恥ずかしいような申し訳ないような気持ちがしましたが
三助さんが背中を流すという貴重な体験が出来たものでした。
先日あるところで隣あった人に背中を流してもらいますと、それが大層き
もちがよい。
「ちょいと強めで」なんて言いますと、ゴシゴシと背中を流してくれました
からサッパリできたものであります。
昔から多くの人が訪れるところで仕事をする人は人が練れていると申し
ますが、三助さんという商売も、客の背中を流しながら浮世の憂さまで
流したものでしょうね。
こんなことを書くと、ちょいと銭湯に行きたくなりました。
今夜あたり、久しぶりに行ってまいりますかね。
なじみの顔がいましたら背中にとりついてみまして、ちょいと返しても
もらいましょう。
三助に背中流され憂さ流れ、というところでございます。
三助の背中≫
カテゴリー │おはなしの世界

もとより落語の世界が好きでありまして、落語を聴いたり読んだりしており
ますとその世界の風俗に興味を持ちます。
風俗と申しましても昨今言う風俗ではありませんで、世の中の暮らしぶり
という意味でございます。
親父が本をたくさん持っておりますので、その棚から「明治大正風俗語典」
という本を持ち出しまして読んでおります。
古い時代の言葉からその頃の風俗を紹介する本でございまして興味深く
読んでおります。
その中に「三助」が出てまいります。 明治頃までは多かった職業で主に
銭湯で客の背を流すということで知られておりますが、名前どおりにこの
三助は「釜焚き」「湯加減の調整」「番台業務」の「三」つの役を「助」ける湯
屋の従業員でありました。
私、若い頃は浅草の隅田川をはさんだ向こう岸の向島というところで修行
をしておりましたが、サウナが好きで浅草のサウナまで出かけることがあ
りました。
そのサウナに三助さんがいたんです。
明治の頃の三助さんは背中を流してお金をもらっていたそうですが、浅草
のサウナの三助さんは客が入ってくると背中にとりつきます。
垢すりのようなもので背中をザッと流してくれますから気持ちがいい。
若い時分ですので恥ずかしいような申し訳ないような気持ちがしましたが
三助さんが背中を流すという貴重な体験が出来たものでした。
先日あるところで隣あった人に背中を流してもらいますと、それが大層き
もちがよい。
「ちょいと強めで」なんて言いますと、ゴシゴシと背中を流してくれました
からサッパリできたものであります。
昔から多くの人が訪れるところで仕事をする人は人が練れていると申し
ますが、三助さんという商売も、客の背中を流しながら浮世の憂さまで
流したものでしょうね。
こんなことを書くと、ちょいと銭湯に行きたくなりました。
今夜あたり、久しぶりに行ってまいりますかね。
なじみの顔がいましたら背中にとりついてみまして、ちょいと返しても
もらいましょう。
三助に背中流され憂さ流れ、というところでございます。