黄朽葉色きくちばいろ

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黄朽葉色きくちばいろ

光の中に落ちている全ての色は自然の中にあります。その色には勢いの季節
があり衰えの季節があり、それを繰り返して一年をおくっています。

日本の伝統色には旬や盛りだけでなく、変わりゆく色を表すものがある。

今朝は黄朽葉色(きくちばいろ)です。

冬に向かう植物公園をあなたは歩いたご経験があるでしょうか。
遮る葉を落として高い高い空が見えてきた頃の公園ときたら、葉の降り注ぐ道
が続いています。

既に落ちた葉は歩みと共にカサコソカサコソと音を立てます。
風が吹けばくるくると舞い上がり、またコソッと仲間の葉の上に落ちてくる。
そこをどんどんと歩くウォーキングの人が行くのです。

私たちは色づく葉を一様に紅葉(こうよう)などと言ってしまいますが、紅葉は
山から降りてくるばかりでなく、市内の公園でも進みます。

大きなホウの木の皿のような葉は珍しい葉です。どこから落ちたのかなと顔を
上げればまだ枝についたホウの木を見つけることができる。

散策路の落ち葉にはみな出身の木があり、それを覚えられるのも秋から冬な
のです。

眩しい夏には私たちに木陰をくれた木たちが、来年の木の葉の子を育てようと
する時、私たちは美しく老いた今年の葉たちを感じることができます。
手にとって見ることなど、思いもよりませんでしたからね。

老いとは美しきことである。思い切りよく後進にその役担うことをまかせ、自ら
はその幹なるものを暖めようと集い、やがては土に還ってゆくのです。

カラカラカサコソと、呪文を唱えながら出身の木を仰ぎ見る朽ち葉たち、思い切
りのよい、よく働いた一生の美しさを私たちは見ることができるのです。


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