イチロー的こころ（旧版）

柳の下に痩せ蛙、こんなことを連想しながら柳を見て匂いを思い
出す。柳屋のポマードというものがありました。

日本の伝統色のその色と名前を見て何が書けるかに挑戦しています。

ポマードとは我らの時代でもちょっと古い整髪量で、ロックンロー
ラーに匂うあの少し退廃的でありちょっと乱暴な不良の匂いがした。

高校の教室に強烈なポマードを効かせて登校してくるのは同級生の
M君、彼はリーゼントにして「黒薔薇」というポマードをつけて
来る。

音楽ブームの中の高校時代はサラサラ長い髪の我らとコームでポマ
ードの髪をなでつける派に分かれていた。
それとまったく時代についてこないよい子たちもいた。

振り返らずともM君が来たのがわかるほど、その匂いは強く、冗談
まじりで先生も「窓をあけろ窒息する」と笑わせていた。

サラサラ派として生涯リーゼントもポマードも縁がなかったながら、
黒薔薇の匂いだけは今も覚えている。

伊達男のM君は服飾関係に就職した。

さてあの匂いはまだつけているか、50を超えればまたそれが似合う
ように思っている。
あの教室にたちこめた甘い匂いは黒い薔薇の香りである。