イチロー的こころ（旧版）

クツクツと煮込み音をさすた鍋は開けてみずともカレーだ
とわかる。じつは家に帰ったとたんにわかるから腹は急い
で最大限にへってしまう。

カレーは一皿半と必ずお代わりして食べるものである。

「おにいちゃんの好きな人参がいっぱいよ」

母はゴロゴロと人参をいれ、それをたくさんかけて食べよ
と手元を見ている。
家ではテーブルに鍋を置き、自ら皿のご飯に好きなだけか
けて食べるのです。

給食のおかずに入っている人参などおいしいはずもなく、
けれどそれを残すなんてことは考えてもみなかった。
家のご飯には出ない給食のおかずの数々で世界を知った頃、
なんでも残すことなど思いもつかないことでした。

人参が食べられない子がいます。お昼休みまで残されて給
食皿の上に残った人参を見つめて泣いています。

その時から人参が好きになった。
あまり美味しくないけれど嫌いな子がいるなら好きになっ
てやろうと思ったことを覚えています。

クツクツ煮込んだゴロゴロ人参は角がとろけて甘い味がし
ます。同じくゴロゴロしたジャガイモよりも甘い味がして
たくさん食べられるのです。

カレールーに顔を出したゴロゴロ人参の色鮮やかに。

トロリ角のとれた甘さを楽しませてくれるのです。