椿の実の笛

カテゴリー │お山の五すけ

椿の実の笛

「椿の実を集めて来い」、おとうすけはさんすけたちに命令します。

子供たちはこういう命令が大好き、椿はたくさんありましたし、木の実を拾うのも
大好きです。

椿の緑の大きな実はほおっておくとはじけて、中からコロコロの実が顔を出しま
す。

「おおきいぞー」、「こっちのはもっとおおきいぞー」、なんてさんすけはポケット
いっぱいに椿の実を拾っていきます。

椿の実からは有名な椿油がとれますが、おとうすけは子供の頃に遊んだことを
教えようと思ったのです。

おとうすけの住んでいた湘南にもたくさんの椿があって、道沿いにコロコロの実
がたくさん落ちていました。

「さあ、大きいのを選んで」、とおとうすけは実をコンクリートにこすりつけはじめ
ます」

一箇所角のところをコンクリートにこすりつけていると、穴があいて白い実が見
えてきます。

今度はそれをつまようじで、ほじくりだすのです。

おとうすけと、3人の息子は、陽だまりに座って根気よく実をほじくります。

おかあすけからは、ボス猿と子猿が遊んでいるように見えています。

ほじくりだしたら、丁寧に実の中をお掃除、コンコンと叩いて小さなカスも取り除
きます。

「さあ、できあがり」、おとうすけは穴に斜めに口をつけて、フーッと吹きます。

「ピーッ」、おとうすけが作ったのは椿の実の笛なのでした。

さんすけたちが、「ピーッ、ピーッ、ヒョロロ」と鳴らします。

広げた新聞紙の上には、まだたんまりと椿の実があります。

目を輝かせたさんすけたちが、もっと大きな実を選んでゴシゴシとコンクリート
にこすりつけています。

自然のもので遊ぶ、おとうすけの子供の頃はこんな遊びがたくさんありました。

一度教えておけば、さんすけたちも、自分の子供に教えるかもしれません。

「ピー、ピーッツ」、シンフォニーには一日中、たくさんの笛が鳴っていました。

へえ、椿で笛ねえ・・・とこの話を聞いた時に、お茶の実だったかな?と、おとう
すけが言う。

随分昔の話で忘れてしまったそうですよ。
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お山の五すけ


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